風邪でもないのに、毎日葛根湯を飲んでいる人はいないでしょうが、桂枝荻苓丸は、冷えや肩こりや下腹部痛のある女性の体質改善用として、長期間毎日飲むことが多い漢方薬です。長く飲んでいればそれだけ副作用も出やすくなります。漢方薬に対して、副作用もないので安心だという思い込みがあると、調子が悪くても、それが漢方薬の副作用だとは気づかずに、重症化してしまう恐れがあります。また一時、小柴胡湯が肝炎に有効だといわれ、よく使われた時期がありました。いまでも使っている医師もいます。しかしながら、その肝臓にいいはずの小柴胡湯で肝障害を起こしてしまうことがあるのです。これは成分である柴胡によるものといわれています。甘草は、カンゾウという植物の根の部分を使った生薬で、漢方薬の約7割に含まれているポピュラーな成分です。その有効成分は、グリチルリチンという物質です。グリチルリチンは、砂糖の約150倍もの甘さがあるため、カンゾウ抽出物の形で、日本ではしょうゆ、みその甘味料として大量に消費され、また漬け物、つくだ煮、珍味、練り製品、飲料、氷菓、乳製品、ココアなどの甘味料としても幅広く使われています。しかしこのグリチルリチンには、体からカリウムを奪いナトリウムを体内にため込む作用があるため、筋力の低下、不整脈、むくみ、血圧上昇という副作用を起こすことがあります。厚生省では、1日量で、甘草として1g、グリチルリチンとして40mg以上を含むクスリの注意書きにはこうした副作用を記載するように指示しています(1978年2月13日)。カンゾウ抽出物は、カンゾウエキス、グリチルリチン、リコリス抽出物という名前で、健康(栄養)補助食品では、チュアブル(噛んで食べる)タイプの甘味料として使われていることがあります。また食品の甘味料として幅広く使われているにもかかわらず、クスリと違い、含有量が表示されていないので、摂りすぎに対する注意が必要です。アメリカの健康(栄養)補助食品では、添加物ではなく栄養成分として含まれていることもあります。よくラベルを読んで注意しましょう。以上、漢方薬を中心にして話しましたが、これはハーブも含めた薬草全体にいえることでもあります。薬草は食べ物とは違い、漫然と長期間摂るべきものではありません。適切なものを短期間だけ摂るべきものであり、摂る際には副作用はもちろん、ほかのクスリや食べ物との相互作用にも注意しなければなりません。